【情報提供】令和8年熊本地震に伴う日行連の周知事項について

支部会員の皆様

令和8年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」を受け、国土交通省等から、被災地域の事業者との取引に関する配慮や、自動車登録手続に関する特例的な取扱いについて、相次いで通知が発出されています。
日本行政書士会連合会に対しても国土交通省から周知依頼があり、取引上の配慮に関しては令和8年8月14日付自動車登録関係の特例措置に関しては同年8月21日付で、それぞれ日本行政書士連合会のホームページにて会員向けの案内が行われています。
豊島支部会員の皆様におかれましても、関与のある顧客からの相談対応等に影響する可能性がありますので、概略についてご案内いたします。

被災した中小受託事業者との取引に関する配慮

令和8年8月7日、国土交通大臣、経済産業大臣および公正取引委員会委員長の連名により、関係事業者団体の代表者に対して「令和8年熊本地震の影響を受けている中小受託事業者との取引に関する配慮について」(国不建振第98号ほか)が発出されました。
(参考/連con)
【周知】令和8年熊本地震の影響を受けている中小受託事業者との取引に関する配慮について

地震による影響は、被災地域の事業者だけでなく、それらの事業者と取引関係を持つ全国の委託事業者・中小受託事業者にも波及する可能性があります。
過去の大規模災害においても、中小受託事業者の責任によらない受領拒否、返品、支払遅延や、従来の取引先から発注を受けられなくなるといった相談が寄せられており、今回も同様の問題が生じることが懸念されています。
このため、委託事業者に対しては、主に次の2点が要請されています。

  • 地震に伴い、中小受託事業者に取引上一方的な負担を押し付けることのないよう十分に留意すること
  • 地震の影響を受けた中小受託事業者が事業活動を維持・再開する場合には、できる限り復旧を支援し、従来の取引関係の継続や優先的な発注に努めること

取適法等との関係について

本通知では、令和8年1月1日に施行された「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号。下請代金支払遅延等防止法を改正したもの。以下「取適法」)との関係についても、具体的な考え方が示されています。
特に国不建振第98号末尾の「参考」ではQ&Aが示されており、「委託事業者におかれましては、特に以下の問4、6、8、9、10及び11を御参照ください」との記載があります。
以下、該当箇所につき国不建振第98号を引用します(3頁以下)。

(参考/公正取引委員会)震災に関連するQ&A
(参考/公正取引委員会)中小受託取引適正化法関係

受領拒否や返品について(問4・問6・問9)

問4
委託事業者が被災し、工場等が滅失するなどして委託事業者に受領能力がないことを理由に、受領拒否することは取適法上問題となりますか。

中小受託事業者に責任がある場合を除き、受領拒否をすることは、取適法上問題となりますので、代替的な工場での受領の可能性も含め、委託事業者は可能な限り受領する手段を講ずる必要があります。しかしながら、委託事業者が被災し、工場等が滅失するなどして、客観的にみて当初定めた納期に受領することが不可能であると認められる場合に、例えば、両者間で十分協議の上、相当期間納期を延ばすこととなったときには、そのような事情を十分考慮して対応することとなります。
なお、委託事業者は、このような特別な事情や経緯について、事後的にも分かるような記録を残しておくことが望まれます。
(注)取適法についての考え方は、基本的に、フリーランス・事業者間取引適正化等法における特定業務委託事業者(発注事業者)と特定受託事業者(いわゆるフリーランス)との取引についても当てはまります(以下同じ)。

問6
委託事業者が、風評に基づき受領拒否や返品を行うことは、取適法上問題ないですか。

中小受託事業者に責任がある場合を除き、委託事業者が、発注した商品の受領を拒むことや一旦受領した後にその商品を引き取らせることは、取適法上問題となります。

問9
委託事業者は部品Aと部品Bによって商品Cを製造しており、部品Bについては中小受託事業者に製造を発注している場合、被災により部品Aが手に入らなくなったことを理由に、中小受託事業者に発注していた部品Bの受領を拒否することは、取適法上問題となりますか。

個別の事案については、具体的な事実を踏まえて判断することとなりますが、中小受託事業者に責任がある場合を除き、受領拒否をすることは、取適法上問題となりますので御注意ください。

災害による損害の一方的な負担について(問8・問10)

問8
震災の影響により、中小受託事業者が委託事業者から預かっていた物品が破損したことを理由として、委託事業者が損害賠償請求として金銭を製造委託等代金から差し引くことは、取適法上問題となりますか。

委託事業者が、中小受託事業者に責任がないのに、製造委託等代金の減額を行うことは、取適法上問題となります。したがって、震災の影響により委託事業者から預かっていた物品が破損したとしても、通常、中小受託事業者に責任があるとはいえず、委託事業者が震災による損害額を製造委託等代金から減額することは、取適法上問題となるおそれがありますので御注意ください。

問10
委託事業者の保管施設が被災したことにより、中小受託事業者が納品しようとした商品をその中小受託事業者に保管させ、倉庫代等の追加費用が発生した場合、当該費用を中小受託事業者に負担をさせることは、取適法上問題となりますか。

中小受託事業者に対し、委託事業者が支払うべき費用を負担させることは、不当な経済上の利益提供要請として取適法上問題となりますので、委託事業者が追加費用を負担する必要があります。しかしながら、委託事業者が被災し、客観的にみて震災の影響により発生した追加費用を直ちに負担することが不可能であると認められる場合に、例えば、両者間で十分協議の上、一時的に中小受託事業者が費用の一部を負担するときは、そのような事情を十分考慮して対応することとなります。なお、委託事業者は、このような特別な事情や経緯について、事後的にも分かるような記録を残しておくことが望まれます。

コスト上昇と価格協議について(問11)

問11
震災の影響により生産・調達コストが大幅に上昇したため、中小受託事業者が単価引上げを求めたにもかかわらず、委託事業者が従来の単価を据え置くことは取適法又は優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となりますか。

御指摘の生産・調達コストが大幅に上昇するなど震災の影響による単価の引上げについては、委託事業者と中小受託事業者との間で十分協議を行って決定することが望まれます。個別の事案については、具体的な事実を踏まえて判断することとなりますが、例えば、震災の影響により中小受託事業者のコストの変動が生じた場合において、中小受託事業者が単価の引上げに関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じず、一方的に単価を決定することは、協議に応じない一方的な代金決定として取適法上問題となるおそれがありますので御注意ください。また、中小受託事業者のコストが通常の発注に比べて大幅に増加するような発注にもかかわらず、中小受託事業者と十分に協議することなく、通常の発注をした場合の単価と同一の単価に一方的に据え置くことは、買いたたきとして取適法上問題となるおそれがありますので御注意ください。
また、取適法の対象とならない取引であっても、震災の影響による原材料価格やエネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことや、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くことは、優越的地位の濫用として問題となるおそれがあります。

フリーランスとの取引について

Q&Aの(注)では、取適法についての考え方は、基本的に、フリーランス・事業者間取引適正化等法における特定業務委託事業者(発注事業者)と特定受託事業者(いわゆるフリーランス)との取引についても当てはまるとされています。
取適法の資本金要件に該当しない規模の顧客であっても、フリーランスへの業務委託を行っている場合には同様の配慮が求められる点にご留意ください。

(参考/e-gov)特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
(参考/厚生労働省)フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ
(参考/公正取引委員会)2024年公正取引委員会フリーランス法特設サイト

建設業における取引上の配慮について

建設業を営む者が請け負う建設工事の全部または一部を他の建設業を営む者に請け負わせることは、取適法上の役務提供委託から除外されています。もっとも、中小企業・小規模事業者が事業を継続できる環境を整備するという通知の趣旨に鑑み、建設業界に対しても同旨の周知が行われました(令和8年8月7日付国不建第55号・国不建振第99号)。
具体的には、次の事項に関して遵守や協力体制が求められています。

  • 通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回る見積りや見積りの変更依頼の禁止
  • 通常必要と認められる原価に満たない額による請負契約の締結の禁止
  • ほか、災害復旧工事等における留意事項等

(参考/e-gov)建設業法第20条の2
(参考/国土交通省)発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン/第8版/令和8年1月

自動車登録業務等の取扱いについて

令和8年熊本地震に係る印鑑に関する証明書等の有効期間の取扱いについて

自動車登録業務については、被災者の負担軽減のため、書類の有効期間について特例措置が設けられました(令和8年8月7日付国自情第92号)。
(参考/連con)
【周知】令和8年熊本地震に係る印鑑証明書等の有効期間の取扱いについて

対象者は、特定被災地域内に住所を有する者、および当該地域内に使用の本拠の位置が定められている自動車の所有者・使用者です。
ここでいう特定被災地域とは、本災害に際し災害救助法が適用された市町村の区域をいい、令和8年7月28日付で熊本県内の10市10町1村(21市町村)が適用対象とされています。

(参考/内閣府)
令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について

(参考/内閣府)
災害救助法の適用状況/随時更新

対象となる書面は「印鑑に関する証明書」、「自動車保管場所証明書」、「住所を証する書面」となりますが、詳しくは国自情第92号をご確認ください。

令和8年熊本地震による自動車の抹消登録申請時の特例的取扱いについて

地震やこれに起因する火災・土砂崩れ等により自動車が焼失・埋没した場合について、永久抹消登録の特例措置が設けられています(令和8年8月7日付国自情第93号)。
詳しくは国自情第93号をご確認ください。

令和8年熊本地震におけるOSS申請の一時的な取扱いについて

OSS申請については、自動車保管場所証明書(本災害発生日前40日以内に作成されたもの)および希望番号予約済証(令和8年8月7日から令和9年1月26日までに有効期間が満了するもの)の2点について、特例措置が設けられています(事務連絡令和8年8月7日)。
詳しくは事務連絡令和8年8月7日をご確認ください。

令和8年熊本地震における希望番号予約済証の取扱いについて

希望番号予約済証について、特例措置が設けられています(事務連絡令和8年8月7日)。
詳しくは事務連絡令和8年8月7日をご確認ください。

支部会員の皆様へ

今回の熊本地震に伴う一連の措置は、被災地域に所在する事業者や車両だけに関係するものとは限りません。
企業法務、建設業、自動車登録等の業務を取り扱う会員におかれましては、サプライチェーン等で関与ある顧客から相談を受けた際には、通常時の取扱いのみで判断せず、今回の特例措置の適用の有無等をまずは確認のうえ、各通達等をご参照ください。

また、今後、日本行政書士会連合会にて追加の通達等が共有される可能性がある点についてもご留意ください。

なお、先日周知いたしました支援金及び義援金の募集についても併せてご確認いただきますようお願い申し上げます。
(参考/豊島支部HP)保護中: 令和8年熊本地震に係る支援金及び義援金の募集について | 東京都行政書士会豊島支部
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